手前味噌ですが… #校長室からの風景
「手前味噌」という言葉は、自家製味噌の味を自慢することからきた言葉で、逆接的に次の文につながって、謙遜の雰囲気を残しつつ自慢話をする場合に使うのが通用です。
さて、ある日いつものように廊下をぶらつ…巡回していると講師の先生を紹介する声が聞こえます。
生徒の机には
若松味噌醤油店の若松真哉店主を講師にお迎えしての、味噌づくりが行われています。
生徒たちがエプロンとバンダナをしてますから、家庭科の調理実習かなにかかなと思われるかもしれませんが、ここは理科実験室。生物の授業です。
高校生物でおなじみのアデノシン三リン酸(ATP)関係。きょうはエタノール発酵の学びの実践です。C6H12O6→2C2H5OH+2CO2+(2ATP)(太文字以外はすべて元素記号の右上につく数字)懐かしい…高校時代に呪文のように唱えたアレですよ。
ということで、今日はC6H12O6→2C2H5OH+2CO2+(2ATP)を実践します。
と
を
ちなみにこねる腕の筋肉の中では高エネルギーリン酸結合のATPがADPに分解されエネルギーを生み出している…これも高校生物で習いました。う~む、この教室にはアデノシン三リン酸があふれていますねww。
続けて、
若松講師から「よく押し込んで空気を抜いて」と説明があります。生物で習う「発酵は微生物が酸素を用いない(嫌気呼吸)で有機物を分解し、ATP合成をする働き」と習いますから、講師の指示もなるほどなるほどと理解できます。生活と学びが一致する瞬間です。
空気を遮断。嫌気呼吸だからね。
後は、樽の中でC6H12O6→2C2H5OH+2CO2+(2ATP)が数か月続くわけです。
習ってしまえば、書いてしまえば、暗記してしまえば、一瞬で済んでしまうと思える反応も、生活の場ではこんなに手間暇がかかる作業。
実践を通して、身体とともに学ぶ科学。
こういう学びが、原町高校にはあります(手前みそですが…)