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入学式式辞 #校長室からの風景

式辞
 阿武隈の山なみから暖風吹き、渋佐浜の波穏やかな今日の良き日に、福島県議会議長様、同窓会長様、PTA会長様のご臨席を賜り、令和六年度福島県立原町高等学校入学式を挙行できますことは、大きな喜びであります。
 さきほど、一人一人の姿を呼名により確認し、百三十四名の入学を許可いたしました。新型コロナウイルスの流行による様々な困難のなか、中学校の二年間を学び、昨年からようやく日常を取り戻しつつ選抜試験に臨み、入学の今日を迎えられたみなさん、おめでとうございます。
 そして、お子様の健やかな成長を願い、この晴れの日まで導き育んでこられましたご家族の皆様に心から敬意を表します。
 さて、新入生の皆さん、こうして入学式を迎えた皆さんに、私はいくつかの問いを投げかけようと思います。
 まず、皆さんは高校でどのように「学ぶ」つもりでいますか。与えられたことを、言われるがまま「学ぶ」のでしょうか。それとも、自ら興味や関心を持ち、自分の将来と関連付けながら「学ぶ」のでしょうか。本校にある様々な教育プログラムを皆さんがどう活用するのか、プログラムでどう成長するのか、その成否は皆さん自身の中にあることを忘れないでください。
 次に、皆さんは本校で、どのような人間関係を「結び」ますか。周りにいるクラスメートと、生徒会活動や部活動で出会う上級生と、そして我々教職員や社会の人々とどのような人間関係を「結ぶ」のでしょうか。バーチャルな環境が発達し、数行の文章や切り取られた映像による短いコミュニケーションが発達する現代にあって、高校生活の三年間は現実世界で人と結ぶ密度の濃い大切な時間となるはずです。
 そして、東日本大震災・原子力発電所事故から十三年が経過した今となっても、本県の復興は道半ばです。この復興の「興」という漢字は「おこす」と訓読みをし、新しく何かを始めたり、勢いづかせたりする意味を持ちます。大震災・原発事故ばかりではなく、広く世界に目を移しても、様々な災害が発生し、ウクライナやガザ地区にみられる戦いなど、安心や平和という価値でさえ揺らぐ現代にあって、皆さんは新しい価値を求め、探り、見出すことのできる人とならなければなりません。先ほどの訓読みの意味のとおり
新しい価値を「興す」のはみなさんです。どのような価値をみなさんは「興す」のでしょうか。
 さて、保護者の皆様にお話しいたします。今、晴れの姿を見せているお子様は、三年後成人として社会に積極的に参画する担い手の役割が求められることになります。社会を生きる成人としてあり方を、日々の姿で見せ、導き教育できるのは保護者の皆様をおいてほかにありません。高校の三年間は、お子様が保護者の皆様から離れ、成人として準備をする期間です。保護者の皆様の温かく優しい胸の中に囲ったままでは、「学び」「結び」「興す」ことはできません。失敗を恐れずいろいろなことに挑戦させる必要があります。お子様にとって成人となる準備、それは保護者の皆様でしか行うことのできない大切な教育です。本校はそれに向け、様々な活動の場を設け支援をしてまいります。
 あらためて、新入生の皆さん、先ほど私が問うたどう「学ぶ」か、どのような人間関係を「結ぶ」か、どのような価値を「興す」か、この「学ぶ」「結ぶ」「興す」は、本校校歌一番から三番の歌詞に歌われる言葉であり、
校歌最後の四番は「励む」という言葉で締めくくられています。
 この校歌とともに、本校で勉学に励み、人とのつながりを求め生徒会活動や部活動に励み、新しい価値の創造者たらんと励み、新しい時代を生き、社会に貢献する人間として大きく成長することを心から祈念し、式辞といたします。
令和六年 四月八日

※本校校歌は→こちら

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